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西出酒造:再建の歴史が育む「究極の地酒」と交流の場

公開日:2025/10/23

石川県小松市下粟津町に蔵を構える西出酒造は、大正2年(1913年)創業の歴史を持つ酒蔵です。この蔵の現在の活気は、一度失われたものを再建したという、並々ならぬ歴史によって支えられています。

今回、お話を伺ったのは杜氏の奥様である西出加世子さんです。

世界で愛される人気銘柄と伝統の技

代表銘柄は、「究極の地酒」を目指して造られる「春心(はるごころ)」。地元の米と超軟水、蔵付き酵母を用いた伝統的な生酛(きもと)つくりが特徴で、力強い旨味と個性的な酸味が、日本酒ファンを魅了しています。伝統的な製法を守る一方で、若者や海外にもアピールするユニークな商品も生み出しています。

西出酒造では全て槽(ふね)と呼ばれる昔の搾り機を使い手作業で搾っています。仕込みに挑戦している木桶など、伝統的な道具や製法を間近に見ることができる貴重な機会です。

ねこラベル「吟醸酒 もろみー」

蔵で飼われている2匹の白猫「もろ」と「みー」をデザインしたねこラベルの「吟醸酒 もろみー」は、その愛らしさで国内外から高い人気を集めています。リンゴ酸高生産性酵母を使用しており、白ワインのような爽やかな酸味と、すっきりとした甘みが特徴。その親しみやすい味わいとユニークなデザインから、海外でも人気が高く、輸出も増加しています。

春心 木桶仕込み

伝統的な生酛づくりを、地域唯一の木桶職人が作った木桶で仕込む、蔵の挑戦を象徴する銘柄。今回はこちらを購入して帰りました。木桶の香りが独特で伝統と力強さが楽しめました。

地域との交流を深める拠点とイベント

蔵の空間は、単に酒を造る場としてだけでなく、地域に開かれた交流拠点としても機能しています。

蔵CAFE「ぐるり」

蔵の敷地内にある蔵CAFE「ぐるり」は、土曜日限定でオープンしています。酒蔵が使用する超軟水の仕込み水で淹れたコーヒーやスイーツ、そしてお酒の飲み比べセット(200円〜)が楽しめます。

ギャラリー・イベント活動

戦前に建てられた建物を活用して、地元の作家によるギャラリーや、いけばな、紙芝居、さらには和太鼓の演奏など、さまざまな文化的なイベントが積極的に開催されています。年に一度の「西出酒造 感謝祭」は、限定酒の販売や鏡開きなどで特に賑わう大きなイベントです。

活気に溢れた西出酒造ですが、過去に大きな困難があったことを伺いました。

困難を乗り越えた蔵の再スタート

西出酒造は、清酒の低迷期に一度は創業家から経営権が離れ、銘柄の「春心」も消滅の危機に瀕しました。しかし、蔵元杜氏である西出裕恒氏は、困難を乗り越えて2014年に蔵を買い戻し、西出酒造として再スタートを切りました。

この再建の経験が、現在の「究極の地酒つくり」という哲学に深く結びついています。地元の米へのこだわり、そして微生物の力を借りてゼロから蔵を蘇らせた経験から、「菌と人が対等で共生する」という信念のもと、伝統的な生酛つくりを主軸とした酒造りに没頭しています。

困難な歴史を乗り越えてこの地で酒造りを続けるという覚悟が、西出酒造の日本酒、そして蔵CAFEやイベントの活気に、より一層の深みを与えています。

伝統と情熱が息づく蔵を訪ねてみて

アクセス情報

店名西出酒造
住所〒923-0304
石川県小松市下粟津町ろ24番地
電話番号0761-44-8188

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この記事の発信者

辻 沙紀
賃貸担当

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