恒和不動産株式会社
小松の暮らしや不動産情報を発信中!

滝ヶ原石採掘販売元 荒谷商店:日本遺産の石切り場

公開日:2025/10/27

石川県小松市滝ヶ原町に位置する荒谷商店は、創業百年以上にわたって、北陸の銘石「滝ヶ原石(たきがはらいし)」の採掘から加工、販売までを一貫して手がけている専門業者です。
荒谷商店5代目の荒谷雄己さんに、石切り場を案内していただきました。

滝ヶ原石:現代建築にも選ばれる堅固な銘石

滝ヶ原石は、小松市滝ヶ原町の山間部から採れる灰緑色の凝灰岩です。江戸時代後期から採石が続き、地元の橋や鳥居などに使われる堅固な石材として古くから知られてきました。
平成28(2016)年度には、日本遺産「『珠玉と歩む物語』小松~時の流れの中で磨き上げた石文化~」として、石切り場や遺跡、石橋、石蔵など市内31の構成文化財が認定されています。

優れた特性と多様な用途

滝ヶ原石は、目が細かく耐久性が高いのが特徴で、雨雪にも強く、古くは各地方の建築物や家の基礎石によく使用されてきました。その堅固さから、墓石、鳥居、石橋などにも欠かせない石材です。
また、きめが細かいため軟石の中でも硬い方で加工がしやすい特性を持ちます。そのため、石彫刻などにも多く用いられています。近年では、その美しさから店舗や家の玄関ポーチ、室内の壁石のような建築材としても使われることが多くなりました。特に水に強いことから、温泉などの浴槽・浴室にも使用されています。

地域の象徴としての採用

その品質と地域文化が評価され、平成28年には日本遺産(「『珠玉と歩む物語』小松〜時の流れの中で磨き上げた石の文化〜」)にも認定されています。
近年では、北陸新幹線小松駅舎や、デザイン性の高い新石川県立図書館といった、石川県を象徴する重要な建築物にも採用されています。

時間と手間をかける採掘作業

滝ヶ原石の採掘現場では、現代的な手法を取り入れつつも、時間と労力を要する伝統的な手法が守られています。

時間と危険を伴う採掘

かつてはツルハシやノミで手作業で行われていましたが、現在は切り出しに機械が導入されました。しかし、作業には依然として大変時間がかかり、掘り進められるのは1年でわずか数メートルです。令和7年に掘り進んだ距離は、大人が両腕を広げた程度しかありません。この極めて少ない採掘量からも、滝ヶ原石がいかに貴重な石材であるかがわかります。

外部から遮断された空間

採掘は、岩山を側面から掘り進んで行われます。掘り進むと外光がまったく入らなくなり、携帯の電波も届きません。荒谷さんは、「外のことがまったくわからない」という閉鎖された環境の中で作業を続けます。また落盤の危険もあるため、気の抜けない危険な仕事場です。

石文化を未来へ繋ぐ覚悟

昭和三十年代をピークに多くの職人で賑わっていた滝ヶ原の石切り場ですが、現在は荒谷商店一軒のみが採掘と加工を担っています。

荒谷さんは、「県内外の人に、滝ヶ原石を知ってもらいたい」と熱く話します。地域の歴史を深く刻み込んだ石材の価値を守り、その魅力を広く伝えるという使命感が、荒谷商店の活動の根幹となっています。

アクセス情報

店名荒谷商店
住所〒923-0335
石川県小松市滝ヶ原町二-143番地
電話番号090-9762-8324
Webサイトhttps://arayasyouten.jimdofree.com/

見学には予約が必要ですのでご注意ください。

小松の魅力をもっと知りたい方はこちら!

この記事の発信者

白山 ひとみ
経理事務

戻る