
小松市龍助町に店を構える「長保屋茶舗」は、古くからこの地で愛されてきた日本茶の専門店です。その歴史は遠く平安時代にまで遡ると言われています。
長保屋の遠祖は、984年から986年に在位した花山天皇に仕え、中国から伝わったお茶を献上する役割を担っていたと伝えられています。そして、加賀藩三代目の前田利常公が、小松の町の産業を盛んにしようと目をつけたのが「お茶の生産」でした。


前田利常公と小松のお茶

利常公は、人々の活力を高めるため、さまざまな産業を興そうとしました。その中でも特に力を入れたのがお茶です。山城の国(現在の京都府)から茶の種を取り寄せ、篤志家として知られた長谷部理右衛門に栽培させました。理右衛門は自ら育てたお茶を利常公に献上。利常公は大変喜び、金平(現在の金平町)で生産されたお茶には「こがねの薫り」、瀬領(現在の瀬領町)で生産されたお茶には「谷の音」という銘をつけました。これが、この地方で茶の生産が始まった最初だと言われています。

利常公が寛永16年(1639年)に子の光高に加賀藩を譲った後も、このお茶文化は脈々と受け継がれていきました。長保屋は、その歴史を今に伝える存在なのです。
長保屋茶舗で人気のお茶

今回、13代目の長谷部英嗣さんにおすすめの商品をうかがいました。
伝統的な日本茶から、現代のライフスタイルに合わせたお茶まで、豊富な品揃えも魅力です。中でも、自家工場で茎の部分だけを均一に浅く炒り上げた「棒いり茶【加賀かほり】」は、香ばしさと優しい味わいで人気を集めています。

そして、南加賀の地ではごく少量ながら茶葉が生産されており、長保屋茶舗では石川県加賀市打越で作られたこの貴重な茶葉のみを使用した「加賀の紅茶 輝(かがやき)」を販売しています。

歴史と技が息づく一杯
長きにわたる歴史と、今に受け継がれる確かな技術。その両方を感じられる長保屋茶舗で、歴史に思いを馳せながら、とっておきの一杯を見つけてみてはいかがでしょうか。
アクセス情報

店名 | 老舗日本茶専門店 長保屋茶舗 |
住所 | 石川県小松市龍助町81−1 |
電話番号 | 0761-24-5202 |
営業時間 | 9:00-18:00 |
定休日 | 不定休 |
ウェブサイト | https://www.chooboya.com/ |